【介護リフトの長所】ノーリフトケアの実践へ

この記事の監修者
斉藤 正行
一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長

1978年に奈良県生駒市で生まれる。2018年6月に一般社団法人全国介護事業者連盟の設立に参画、2020年6月に理事長に就任。この他、介護団体・法人の要職等を兼任し、介護業界の発展に心血を注いでいる。

介護リフトの長所とは?

ノーリフトケアとは、オーストラリア看護連盟が看護師の腰痛予防対策のために、1998年頃に提言したものであり、また、「ノーリフティングポリシー」とは、危険や苦痛の伴う人力のみの移乗を禁止し、患者・利用者さんの自立度を考慮した福祉用具使用による移乗介護を義務付けているものです。

日本においても、2008年頃にこの手法による介護が始まり、無理な抱え上げでの介護を原則行わない、という管理者側の働き方に対する改革が求められるようになりました。

 

介護リフト導入の長所

① 施設スタッフ編

介護の姿勢は身体、特に首や肩、腕などの部位に負担がかかりやすく、加えて介護現場での腰痛発症率は高く、7割ものの方が腰痛に悩んでいると言われています。

腰に負担がかかる姿勢で介護をすることで、腰の筋肉を酷使してしまい、慢性的な痛みを感じるようになるのです。長期間の腰への負担は、急性腰痛症(ぎっくり腰)の発症原因にもなり、結果として仕事を休まざるを得なくなります。

介護リフトを使うことで「持ち上げる」介助は不要となるため、腰痛を予防することができます。また、介助者の能力や体格に左右されずに移動でき、女性や小柄な方でも毎回同じ力で移動させることが可能です。

介護現場では、乗り移りの際に、皮膚の損傷や転倒事故が多く起こっています。介助者が、利用者様の怪我のリスクを常に気にかけることも精神的なストレスであり、介護リフトを導入することにより、このようなストレスの軽減につながることは明らかです。

したがって、介護リフトは、施設スタッフに対しても身体的、精神的にも優しい福祉用具なのです。

② 施設の管理者編

施設スタッフの腰痛による休職や離職が人手不足の直接的原因となっており、介護現場では、大きな問題として多く取り上げられていることが現状です。

介護リフトを導入することで、施設スタッフは怪我や疾患につながる動作を避けることができ、結果的により良い職場環境の構築につながります。

さらにリフト導入に関する研究では、人員補充のコストと時間の軽減による費用対効果の向上という面で長所があるということが立証されています。そのため、早くから腰痛発症のリスクを減らす環境の構築が重要となっています。

施設スタッフを守り、働きやすい環境を提供することで、結果的に継続的な就業が後押しされます。長期雇用による安定した施設運営は、利用者様に対する十分なサービスの提供につながります。

③ 施設の利用者さん編

無理な抱え上げなど力任せのケアによって、皮膚の損傷や褥瘡の悪化、骨折などを引き起こす場合があります。また、介助される側の筋肉の緊張が高まり、関節の拘縮につながってしまうなどの二次障害を引き起こす可能性もあります。

強い力がかからず、支えが安定している福祉機器であれば、利用者様に恐怖心を与えず安心して介護を受けられます。また利用者様は、リフトを使って身体を起こすことで、視界が広がり、自立への意識が高まることがあります。結果として、利用者様の活動範囲の拡大も期待できます。

具体的な事例として、実際に筋緊張の強い利用者さんにリフトを使用して介助を行った結果、臥位や座位の姿勢が改善したという報告があります。

したがって、利用者さんにとって安心できる介護は、ADL(日常生活動作能力)の維持や生活の質の向上にもつながるのです。

介護職の方だけではなく、利用者様にとっても負担軽減となるのがノーリフトケアの長所です。

 

 

3.まとめ

ノーリフトケアを導入することでスタッフ、利用者さんの両方に対して、安心安全な介護環境の提供することができます。このように介護リフトは、双方の負担を減らす手法の一つとして有効です。

お互いに苦痛が少なく快適に過ごせるようなアプローチ方法を、施設様全体で模索して頂ければ幸いです。

 

 

この記事の監修者
斉藤 正行
一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長

1978年に奈良県生駒市で生まれる。大学卒業後、コンサルティング会社に入社。その後、介護業界に転身。老人ホーム会社の取締役運営事業本部長などを経て、2013年8月に株式会社日本介護ベンチャーコンサルティンググループを設立。2018年6月に一般社団法人全国介護事業者連盟の設立に参画、2020年6月に理事長に就任。この他、介護団体・法人の要職等を兼任し、介護業界の発展に心血を注いでいる。

 

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