【介護施設の経営で成功するには?】経営術のポイント5選

今回は、【介護施設の経営で成功するには?】経営術のポイント5選をご紹介します。

【現役】医療介護の営業マン
【現役】医療介護の営業マン
こんにちは、私は福祉用具専門相談員として営業をしております。高齢者の増加は著しく、需要に対して施設の供給が追い付かない状況です。

今回は、「介護施設の経営で成功するには?」について考えてみましょう。

 

 

【介護施設の経営で成功するには?】経営術のポイント5選

【経営術1】マネジメント能力を持つ施設長を配置する

介護施設に入居を検討される場合や、スタッフとして就業先を探される場合、ほとんどの場合その施設の責任者である「施設長」と面談します。

※施設によっては「ホーム長」「施設責任者」等呼び方が異なりますが、ここでは「施設長」に統一いたします。

このとき、施設長が入居検討者や求職者に対して親身に接し、疑問点に一つひとつ答えてくれ、様々な不安を解消してくれたとしたら、どうでしょうか?

「この施設に入居したら、きっとよいサービスを提供してくれるかもしれない」「ここなら安心して働ける」と思っていただく可能性は、高まるのではないでしょうか?

相手にそう思っていただくためには、下記の3つにおいて施設長が概ね備わっている必要があると考えます。

介護業務のマネジメント

提供する介護サービスが、適切に確実に提供されるようマネジメントする業務です。あらかじめ決められた介護サービスの内容を守り、かつ、サービスの品質も落ちないよう、スタッフに働きかけます。

上記は、法令で定められた基準を遵守するということも含まれます。

人材のマネジメント

スタッフ採用や教育は、施設長の重要な仕事です。

施設長には、人員に関する基準を遵守した上で、よりよい介護を実現するため優秀な人材を採用し、適切な人員配置をし、介護職としての資質を高めるための教育を施す責任があります。

残業が多すぎないか、疲弊する職場環境になっていないか、スタッフ同士の雰囲気は悪くないか等、ホーム全体を見回して、働きやすい職場になっているかを把握し、コントロールする労務管理も大事な仕事です。

体調の悪い職員が増えれば人員配置に支障が出ますし、離職にもつながります。施設のスムーズな運営には、人材マネジメントが大いに重要です。

収支のマネジメント

施設長には、利益を出すための収支のマネジメント力も求められます。
入居者の確保、無駄な支出の削減を含めた収支管理は、特に本部から求められるところです。

収支のマネジメントは、施設長にとって大変重要な仕事の一つです。

安定して収益を得るためには、入居稼働率が高い状態を維持し続けることが必要です。そのため、施設の広報活動を行いつつ、入居者促進の営業活動を行います。

 

 

【経営術2】収支設計を綿密に行う

終始設計を綿密に行わなければ、経営を続けることはできなくなります。

賃料の設定

売上の多寡にかかわらず、賃料は固定費として重くのしかかってきます。理想は、売上予測金額の10%程度に抑えたいものです。

損益分岐点は低く、かつ適正に

損益分岐点の設定は、管理会計上大変重要です。稼働率ベースにおける損益分岐点は70%程度に維持したいものです。

損益分岐点は低い方がよいに決まっていますが、低く設定するということは、サービスの質を低下させることにつながりやすいからです。法令で定めた基準を下回ることになっては、話になりません。

先に触れた理想の損的分岐点は、あくまで稼働率をベースにお伝えしておりますが、居室あたりの売上額に対する収支が一定以上であることが大前提です。

「稼働率が90%以上と高水準なのに赤字」ということは、居室あたりの売上が低い(コストを回収できない)ということです。

間違っても、このようなことにならないようにしなければなりません。

月額利用料の設定

上記「損益分岐点」の話に直結しますが、月額利用料の設定も重要です。

メインとなる「家賃」「管理費」「食費」を上手に設定することで、入居検討者の負担を軽減することが可能となり得ます。

入居者(ご家族)の状況により異なるので一概にはいえませんが、介護保険や医療費の自己負担分等を合わせて、月額が概ね20万円程度に収まる設定であれば、一般にリーズナブルな価格帯であると言えるでしょう。

施設のコンセプトにより異なりますが、目安として参考にしていただければと思います。

 

 

【経営術3】スタッフの安定的な確保

スタッフの安定的な確保は、介護施設の経営には絶対に必要です。非常に難しいことなのですが、それでもスタッフ確保は手を抜くわけにいきません。

外国人労働者の採用

近年、外国人技能実習生をはじめとする外国人雇用が、少しずつ浸透しています。外国人労働者の採用を不安視する経営者も、多くいらっしゃることは事実です。

外国人労働者を採用し育成するのは、簡単ではありません。その労働者の出身国の文化や宗教、歴史、慣習等を、受け入れる施設側が理解し、接しなければなりません。

「郷に入れは郷に従え」という諺がありますが、これを相手側に押し通そうとしたら良い結果にはなりません。また、たゆまぬ日本語教育や在留管理、他の従業員からの理解も欠かせません。

難しい問題もありますが、上手に外国人労働者に活躍していただくことで、よいサービスを安定的に提供している施設はたくさんあります。

特に、お年寄りを大切にする国として有名なフィリピン人のホスピタリティは、世界に認められています。

給与水準を近隣施設より先に上げる

人件費はここ数年、高止まりの傾向を見せています。

コロナ禍においても、最低賃金は上昇し続けており、必要な施策であることは理解できても、経営者にとって人件費の上昇は非常に悩ましい問題です。

介護事業における新規採用の難易度の高まり、離職率の増加には歯止めが効かない状況です。給与水準をどのレベルに設定するかは、介護ビジネスをする経営者は避けて通れない道です。

介護ビジネスは「人」がすべてと言っても過言ではありません。それを念頭に置かず、いたずらに人件費を削減してしまうと、大やけどを負ってしまいます。

助成金を上手に活用したり、より上位の介護職員処遇改善加算を算定したりして、給与水準を積極的に高めていけるための努力は、当然必要です。

 

 

【経営術4】施設の「唯一無二」を作る

自分たちの施設には、どのような強みがあるのかを分析することも、大変重要です。

強みにもいろいろあります。たとえば、「レクリエーション」「リハビリ」「医療体制の充実」等々・・・

近年では有料老人ホームの増加が目覚ましく、様々な取り組みをしている施設が多いのが実情です。中途半端な取り組みでは、他の施設に埋もれてしまいがちです。

私の知人が施設長を務める有料老人ホームでは「うちは看取りまでやるので、死ぬまで面倒を見ます」と施設長自らが僧侶の資格を取得されたツワモノもいらっしゃいます。

介護施設経営を行う覚悟をしたのなら、施設サービスを高める努力を怠ってはなりません。

 

 

【経営術5】広報・営業活動を継続する

どれだけシルバービジネスが追い風であるとはいっても、漠然と経営すれば運営が成り立つという時代ではなくなっています。

明確な経営戦略を策定することはもちろん、自力で集客できる力が求められているのです。利用者や入居者を増やすためにどのような集客方法を行えばよいのでしょうか。

 

 

介護業界で「集客」が得意になれば?

長年高い稼働率を誇っていた施設でも、近くに同業施設が開業したことで、利用者が一気に減ってしまうということもあるでしょう。

そんなときに鍵を握るのは、病院や居宅ケアマネさんに対する営業活動や施設紹介です。

介護業界のみに従事してきた経営者は、集客に慣れていない傾向があります。「介護=福祉」というイメージが拭えず、福祉業界が営業をするのはいかがなものか、と考える方が未だにいらっしゃるようです。

しかし、営業をするというのは、介護施設を安定かつ長期的に運営するために必要な「手段」の一つであると心得ましょう。

老人ホーム紹介会社との関係構築も必須です。

近年では、病院やケアマネさんから直接紹介を受けることは非常に少なく、老人ホーム紹介会社からの紹介が大きなウエイトを占めています。

それでも、施設として営業活動をしなければならないのは、言うまでもありません。

 

 

コロナ禍でもやるべき広報活動とは?

コロナ禍の長期化により、実地での営業活動が難しい情勢ではありますが、自社の施設サービスを知っていただくための努力は欠かせません。

広報活動の方法はいろいろあります。

  • ホームページの作成
  • オンラインツールを活用した施設見学

さすがにこのご時世、ホームページのない施設はまずないでしょう。凝ったサイトを作成することが重要なのではありません。

必要な情報がわかりやすく記載されていることが重要です。

また、コロナ禍の状況で、施設見学も十分にできないケースもあります。

施設入居を検討していく中で、どこかで施設に出向くことになるわけですが、何度も足を運ぶのは負担であるのも事実です。

ホームページ内にコラムやブログ等を開設し、施設長の考えやイベントの取り組み、その他情報を盛り込み、発信していくことです。

「集客力」を自力で備えている施設には、入居者さんもスタッフも絶えることはないでしょう。

 

 

【介護施設の経営は儲かるのか?】適正運営のポイント3選

今回は、【介護施設の経営は儲かるのか?】適正運営のポイント3選をご紹介します。

【現役】医療介護の営業マン
【現役】医療介護の営業マン
こんにちは、私は福祉用具専門相談員として営業をしております。高齢者の増加は著しく、需要に対して施設の供給が追い付かない状況です。

今回は、有料老人ホームを例に挙げ「介護施設の経営は儲かるのか?」について考えてみましょう。

 

 

介護施設の経営は儲かるのか?

「介護施設の経営は堅実に運営できていれば、相応に利益を上げることができる事業」と言えます。

しかし、条件があります。それは「施設を適正に運営する」ということです。適正に運営ができていれば、それなりに利益を上げることは可能です。

 

 

介護施設の経営で儲かるメソッド3選とは?

①地域の状況を入念にチェック

介護施設の経営を検討するに当たっては、周辺の介護施設の現状についてリサーチすることが必要です。競合が多いと、それだけ入居を促進する上でのネックになり得ます。

②収益構造を十分に理解し、適切な料金設定を

介護施設の収益構造は十分理解しなければなりません。間違っても「満床に近い稼働を維持しているのに、利益が一向に上がらない」というようなことにならないようにしましょう。

以下、主たる収支項目を列挙するので、参考にしていただければ幸いです。

収入 家賃
管理費
介護サービス費
上乗せ介護費
食費・その他サービス
支出 人件費
施設維持管理費
食事・その他サービス関係費
広告費・事務費用
建設借入利息
固定資産税等
減価償却 建物・設備関係償却
開業費関係償却

③「人材」を確保し続ける仕組みづくり

人材の確保なくして絶対に成り立ちません。何が何でも人材を集めてこなければなりません。

事前に潤沢なスタッフを確保できるケースは、それほど多くありません。スタッフを確保するメドが全くないうちは、介護施設経営に手を出すべきではありません。

必要な人材を安定的に確保するためには、人材教育するための仕組み作りも必要です。介護や看護職といった専門職の方は「自らを成長させることのできる法人に属したい」と考える傾向が強いです。

スタッフを大事にしない会社、成長させてくれない会社は、敬遠されがちになります。

介護事業会社にはスタッフの研修機会を確保する義務がありますので、会社をあげて人材教育を推進していかなくてはなりません。新規で介護事業分野に参入される法人であれば、コンサルタント等の力を借りることも手段のひとつです。

 

 

介護施設の主要収入源となる「介護報酬」とは?

介護施設の主要な収入源となる「介護報酬」は、国が定めた公定価格です。国が定めた報酬額は、事業者が適正に運営ができるように設計されています。

超高齢社会で供給が圧倒的不足している環境では、介護サービスを担ってくれる事業所がいないと困るわけです。サービス供給の安定化を図るには、国は民間事業者にも門戸を開いていかないと成り立たないのです。

しかし、介護保険ビジネスの場合「大儲け」ができるか否かと言えば、正直難しいのが実情です。その理由について、4つ挙げてみたいと思います。

 

 

介護施設の経営が大儲けできない理由とは?

①介護報酬の財源が国から出ているから

介護報酬は主に「公費」と「国民からの保険料」で成り立っています。貴重な税金と保険料で運営するわけですから、国として事業者には適正に運営してもらわないと困るのです。

悪徳な事業者が業界にはびこるようでは、高齢者は安心して暮らしていくことはできません。事業者はコンプライアンス経営を厳格に行わなければならないのです。

過度に儲けようとするあまり、運営基準を逸脱するような事業所も存在します。例えば、基準よりも少ない人員配置をしたり、スタッフがいないのに「いたことにして」運営したりするケースです。

都道府県や市区町村が介護事業所の指定をするにあたり、厚生労働省令に基づく基準を遵守することを開設者(事業者)に宣誓させることを義務付けています。

介護事業は、基準に基づく運営が求められることから、過度な利益を上げるのが困難な事業であるといえます。

②人材確保が安定しないから

介護施設を運営する中で最も大きな課題は、施設で働く人材の確保です。適正な人材が配置できなければ、施設を運営することができません。

厚生労働省令が定める人員基準は、サービスごとに示されていますが、これはサービス事業を運営するための「最低限の基準」であると言われています。

介護施設の場合、建物の構造や導線等、施設によって事情が異なります。また、入居者の要介護度によっても当然ながら変わってきます。

定員が40名の施設を例に挙げてみますと、極端ですが「要支援者が40名」の場合と「要介護5の方が40名いる」場合とでは、定員が同数であっても介助の量は異なります。認知症の程度や、医療行為の有無によっても変わってくるでしょう。

人員基準で定められた数以上に、スタッフを配置する必要が生じる場合があるのです。職員の確保が難しい介護業界で、技術や経験に長けたスタッフを確保するとなると、難易度はさらに上がります。

離職率が高くなれば、それだけ採用コストもかかり、利益を圧迫します。十分な人材を安定的に確保できないと、介護施設で利益を上げるどころか、運営の継続すらできなくなるのです。

 

 

③制度変更のリスクがつきまとうから

介護報酬の改定は3年ごと、介護保険法は5年ごとに改正されます。

介護報酬の改定は、改定の前年までに行われる「介護事業経営実態調査」の結果に基づき、介護給付費分科会にて審議され、最終的に決定します。

ニュースでも報じられているとおり、社会保障費の増大は止まりません。このままでは制度の持続性が危ぶまれるのではないか、とまで言われております。

さて、介護施設を運営する事業者にとっては、3年ごとに行われる報酬改定が、経営に直接影響を及ぼす点です。「改定は3年に一度のお祭り」と自嘲気味に語る事業主もいらっしゃいます。

介護報酬はプラス改定となるとは限らず、サービス事業によってはマイナス改定となるケースもあります。基本報酬が下がれば、向こう3年間は報酬額が固定されます。

改定前と同じ内容のサービスを提供していても、売上が下がってしまう場合があるのです。公定価格である介護報酬は、事業所レベルで勝手に変更することはできません。

介護保険事業は、こうした「制度変更リスク」があることを、重々理解した上で行わなくてはなりません。

④施設運営は投資額が大きく、転用しにくいから

介護施設は在宅サービスと異なり、多額の投資を必要とします。入居される方の生活に必要な設備やサービスを、最低限用意するだけでも資金力が問われます。

施設運営に必要な設備や物品、サービス等の計画を綿密に立てて、収益構造をしっかり理解した上で進めないと、大変なことになってしまいます。

一方で、介護施設は一般の賃貸集合住宅よりも、高い収益や利回りが見込めると言われています。

通常の賃貸住宅であれば、交通アクセスが悪いと敬遠されがちですが、介護施設では一般賃貸住宅ほどは重要視されず、施設におけるサービス内容や費用面が優先される傾向があります。

反面、介護施設から仕様変更しようとすると、非常に大きな困難が伴います。転用しにくいという点にも注意が必要です。

次回は、「介護施設の経営に成功するには?」について取り上げたいと思います。

 

 

【介護施設の開業資金】調達方法4パターンとは?

今回は、【介護施設の開業資金】調達方法4パターンをご紹介します。

【現役】医療介護の営業マン
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こんにちは、私は福祉用具専門相談員として営業をしております。高齢者の増加は著しく、需要に対して施設の供給が追い付かない状況です。

今回は最近増えている「有料老人ホーム」を例に、開業に必要な資金調達や助成金情報をお伝えしていきます。

 

 

【介護施設の開業資金】調達方法4パターンとは?

介護施設を開業する上で、非常に重要なのは「資金の調達」です。

開業する介護施設によって、開業に必要な費用は大きく異なります。今回は「住宅型有料老人ホーム」を中心に解説しますが、他の在宅サービスに比べて費用が膨大にかかるのは想像に難くありません。

今回は、住宅型有料老人ホームの開設に必要な費用について、そして資金の調達方法にはどのようなものがあるのかについて解説いたしますので、一緒に考えてみましょう。

【介護施設の開業・開設】必要な手続きや流れとは?もご参考にしてください。

 

介護施設の開業資金を調達する方法とは?

①自己資金

資金調達の最初の一歩は「自己資金」です。

開業を検討している人が皆、潤沢な自己資金を確保している人ばかりではありません。自己資金だけで施設を開設できる人は、ほぼいないと言っても過言ではありません。

だからといって、自己資金がゼロというのは感心できません。

一概には言えませんが、施設の開設を検討するならば、最低でも1,000万円前後の自己資金を確保することが必要です。自己資金額は、後述する「金融機関からの借り入れ」にも影響します。

②金融機関から借り入れ

自己資金ではまかないきれない場合は、「金融機関からの借り入れ」により資金を調達します。金融機関からの借り入れ方法として、下記が挙げられます。

  • メインバンクからの融資
  • 株式会社日本政策金融公庫からの融資
  • 信用保証協会からの融資
  • WAM(独立行政法人福祉医療機構)等の団体からの融資

メインバンクをお持ちの方は、まずはそちらにご相談ください。

日本政策金融公庫からの融資は「無担保、保証人なし」など条件が魅力的ですが、金利はやや高くなります。一方、信用保証協会からの融資は東京都などの自治体を通した融資となります。

自治体が融資の借り入れ条件を決定し、信用保証協会が保証を担ってくれ、金融機関によって融資が実行されます。

いずれの場合も、融資の前提条件として「自己資金」が必要です。これにより融資の審査に通るかどうか、融資額がどうなるかが決まるのです。

自己資金が多いほど、融資が実行されやすくなります。自己資金が0の場合は、融資が受けられる可能性は限りなく低くなります。

自己資金の大きさが事業に対する思いと資金の返済に対する信頼の証となるからです。お金を貸す側であれば、自己資金が全く準備できない人が、本当に事業経営できるのかと懐疑的になるのも当然です。

信用保証協会を通す場合、自治体によって自己資金の規定は異なります。

日本政策金融公庫や信用保証協会からの融資を受ける場合は、最寄りの商工会議所や商工会に相談されることをおすすめします。相談員さんが懇切丁寧にサポートしてくれます。

 

 

③助成金の活用

融資以外の資金調達として、助成金の活用があります。

助成金とは、国や公共団体から支給を受けることができる給付金です。

介護事業に関連する主な助成金は以下の通りです。

  • 介護労働環境向上奨励金
  • 介護福祉機器等助成金
  • 特定求職者雇用開発助成金
  • トライアル雇用奨励金

介護労働環境向上奨励金

介護労働者の負担を軽減し、賃金や労働条件の改善などを進めた介護サービス事業主に支給される助成金です。

介護福祉機器等助成金

事業主が新たに介護福祉機器を導入することによって、介護労働者の身体的負担が減り、適切な運用が行われた場合に支給される助成金です。支給額は、介護福祉機器の導入に要した費用の2分の1(上限300万円)です。

雇用管理制度等助成金

介護労働者の雇用管理に関する改善につながる制度を導入し、実施したことにより一定の効果が出た時に支給される助成金です。支給額は、制度の導入に要した費用の2分の1(上限100万円)です。

特定求職者雇用開発助成金

60~64歳の高年齢者や母子家庭の母親、障がい者など、就職が特に困難な人を継続的に労働者として雇用した場合に支給されます。

トライアル雇用奨励金

安定的な就職が難しい人や障がい者等就職が困難な求職者を一定期間(原則3カ月)試行雇用した場合に支給される助成金です。これ以外にも雇用関係に関してさまざまな助成金があるほか、各自治体の助成金もあります。

 

助成金を活用できれば、開業に必要な資金を補助してもらえますし、運営に必要な資金を調達することができます。

基本的には返済の必要がありませんが、助成金の内容によっては、かなりの量の申請書類を作成する必要があります。不備があれば受け付けてくれません。

また、助成金は基本的に事業遂行(賃金・労働条件の改善、該当する人材の採用等)の後に、実績報告をし、受理されてはじめて支給されるケースがほとんどです。要は「後払い」ということです。

言うまでもありません、不正受給は問題外です。返還を求められるだけでなく、以後助成金受給ができなくなるペナルティが課せられますので、楽観的に考えるのは危険です。

適正に取り扱いさえすれば、返済が不要である助成金は非常に有効な資金調達手法といえます。

助成金に関する情報はなかなか収集しにくく、予算の関係により、年度途中で終了となるものもあります。常に最新情報をキャッチするのは結構大変です。

助成金に詳しい社会保険労務士や中小企業診断士等の専門家や、前述の商工会議所・商工会等に相談してみましょう。

④ファクタリングの活用

売上を早く現金化したい時には、ファクタリングの活用を検討してみましょう。

ファクタリングとは、を売掛金となる介護給付費(国保連に請求した報酬額)を、期日前に一定の手数料を払って買い取ってもらうサービスです。資金調達とは少しニュアンスが異なりますが、資金繰りを改善する策ですので、実質資金調達と同義です。

手数料がかかるため、受け取れる額は全額ではありませんが、国保連からの入金があるまでの資金繰りの問題が解決できる可能性が高まります。また、ファクタリングは負債(借り入れ)ではありませんので、貸借対照表(銀行に対して)に影響を与えないというメリットもあります。

 

 

事業ドメインと事業計画の策定とは?

事業ドメインの策定

事業ドメインの策定とは、「数ある介護事業の中で、どの事業を選択し、経営資源を投入するか」を考えることです。

介護事業と一口に言っても、その種類は多岐にわたります。その中で、住宅型有料老人ホームの事業を行いたいと考えたとして、なぜその事業を行いたいのかを明確にしなければなりません。

有料老人ホームは、高齢者の生活の場です。それを支えることは大変尊いですが、同時に困難も伴います。

施設の運営はお金のかかり方が尋常ではありません。状況によりますが、億単位の資金準備を想定する必要があります。

施設経営には長期的ビジョンが求められ、苦しいからといって簡単にやめることはできません。安易に参入すると大やけどすることもあります。相応の覚悟が必要です。

最初から高いリスクを負わず、比較的に安価で開業したいということであれば、「居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)」や「訪問介護事業所(ヘルパー)」等から始めることをおすすめします。

居宅介護支援事業は、管理者(主任介護支援専門員の有資格者)が最低1名いれば始められます。

訪問介護事業は、一定の人員を確保する必要性から、居宅介護支援事業に比べて開業費用はかかりますが、それでも施設運営に比べれば費用は安く抑えられます。

とはいえ、費用が比較的安価だから「簡単」ということではありません。

詳しくは後述しますが、介護事業を経験している法人のほうが、未経験の法人に比べて融資が圧倒的に受けやすくなります。

熟慮に熟慮を重ね、それでも住宅型有料老人ホーム経営を行うという考えが固まりましたら、事業計画を立ててみましょう。

事業計画の策定

金融機関からの融資を検討するのであれば、事業計画書の提出は必須ですので、やはり綿密な作成が必要です。

「経営理念」「事業規模」「人員計画」「サービス方針」「準備すべき設備」等をしっかり立案した上で、資金計画を立てなければなりません。

何が必要で、どこにいくらかかるのか、ということを把握せずに進めても、うまくいくはずがありません。以下、資金調達の例についてご紹介いたします。

次回は「介護施設の経営は儲かるのか?」というテーマを取り上げます。

 

 

【介護施設の開業に必要な資格】取得の手続きや流れとは?

今回は、【介護施設の開業に必要な資格】取得の手続きや流れをご紹介します。

【現役】医療介護の営業マン
【現役】医療介護の営業マン
こんにちは、私は福祉用具専門相談員として営業をしております。高齢者の増加は著しく、需要に対して施設の供給が追い付かない状況です。

今回は最近増えている「有料老人ホーム」を例に、開業に必要な資格や取得の手続きや流れをお伝えしていきます。

 

 

介護施設の開業に資格は必要か?

まず、結論から申しますと、住宅型有料老人ホームを開設する上で必要となる資格は、特にありません。

【介護施設の開業・開設】必要な手続きや流れとは?で、都道府県ごとに「有料老人ホーム設置運営指導指針」というものがあることをお伝えしました。

その中に、住宅型有料老人ホームの職員配置に関する事項が定められております。地域により一部表現が異なる部分はあるものの、基本的には下記のように記載されております。

 

住宅型有料老人ホームの職員配置に関する事項

職員の配置については、入居者の数及び提供するサービス内容に応じ、 その呼称にかかわらず、「管理者」「生活相談員」「介護職員」「看護職員」「機能訓練指導員」「栄養士」「調理員」「事務員」を配置すること。

 

ポイントとなるのは「提供するサービス内容に応じ」という点です。

例えば、管理者のほかに生活相談員(常勤。入居者100名に対し1名以上配置)、介護職員(入居者3名に対し1名以上)、看護職員(入居者30名までは1名以上配置。31名以上は20名まで増えるごとに1名以上追加)等々、人員基準が厚生労働省令により細かく定められています。

しかし、住宅型有料老人ホームはそれ自体介護保険のサービスではありません。従って、介護保険制度上の基準の縛りはないわけです。

管理者には、資格要件は特にありません。介護サービス事業においても、一部のサービスを除き管理者の資格要件は定められていませんし、業務に支障がない限り兼務も可能です。

入居者やご家族からの相談等の業務を、管理者が対応する仕組みにすれば、生活相談員は特に配置しなくてもよいでしょう。

また、食事の提供について、外部の給食業者に委託する形態にすれば、施設として栄養士や調理員を配置する必要もありません。

介護や医療のサービスを外部事業者に依頼する(後述)のであれば、住宅型有料老人ホームとして介護職員や看護職員を配置する必要もありません。

従って、住宅型有料老人ホームには有資格者の配置が必須の要件ではない、ということです。

ただし、有料老人ホームの併設として、訪問介護事業や居宅介護支援事業、通所介護事業等を行う場合は別です。サービスごとに人員基準が細かく定められておりますので、当然それを遵守しなければなりません。

 

 

有料老人ホームと各サービス事業所を併設する場合の注意点

ここで留意すべき点は、住宅型有料老人ホームと各サービス事業所は、たとえ運営法人が同一であってもそれぞれ「外部の事業」として扱うという点です。

なぜなら、有料老人ホームと介護事業所では、根拠法令が異なるからです。有料老人ホームは「老人福祉法」上の位置づけとなるのに対し、介護サービス事業所は「介護保険法」の位置づけになります。

 

介護事業の管理者が担当すべき業務とは?

先程、住宅型有料老人ホームの管理者については、特に資格要件がない旨お伝えしました。では、介護事業において管理者がすべき仕事には、どのようなものがあるのでしょうか?

管理者の仕事は、一言で申し上げますと「施設の一元的管理」です。以下が仕事の一例です。

  • 利用者管理
  • 運営管理
  • 安全管理
  • 職員管理
  • 収支管理
  • 行政管理

1)利用者管理

利用者の状態(既往歴や現病歴など)と介護方針(ケアプラン)を理解し、法令上適切なサービスを提供できているか確認する。入居時・退去時には、利用者本人・ご家族との面談をおこなう。トラブルが発生した際にも、管理責任者として対応する。

2)職員管理

介護職員の面接や採用、教育、保有資格・能力に応じた人員配置をおこなう。面談やアンケートで現場の状況を把握し、問題が生じた際には、ケアプランや人員配置の見直しを実施する。

3)運営管理

施設の運営方針・サービスレベルを策定し、モニタリングをおこなう。遵守すべき法令等を把握し、行政関係者との適正な関係を保つように努める。外部に向けた広報活動や渉外活動も実施する。

4)安全管理

利用者や職員の安全や健康に留意し、事故がないような環境づくりを行う。設備等に危険箇所があれば整備し、関連業者等との折衝等を行う。

5)収支管理

保険請求や利用者への請求業務、各種経費の管理などをおこなう。収入となる介護報酬とホテルコスト(家賃や食費、共益費など)を計算し、人件費などの支出をコントロールする。

6)行政管理

消防計画の作成・提出、介護保険事業においては、変更届、加算届や計画書、事故報告等の作成や提出を行う。行政からの指示があれば、都度対応する。立ち入り検査や実地指導にも対応する。

 

このように、管理者としての業務は多岐にわたります。

他職種と役割分担をされているケースもありますが、管理者は上記業務を統括する責任を持つことになります。法人の規模によっては、経営者が自ら管理者として業務をしているというケースも、よく聞かれます。

ここで言えることは、管理者には介護事業に関する相応の造詣が必要である、ということです。介護職・看護職は「専門職」といわれています。

業界知識も全くなく、福祉に対して思い入れもない素人の管理者に、部下は尊敬の念を抱くでしょうか。これでは、有料老人ホームの管理者としてふさわしいとは言えません。

たとえ現場経験がなかったとしても、少なくとも介護職員初任者研修くらいは取得しておきたいものです。

住宅型有料老人ホームの中には、看護師の資格を持つ管理者も多く存在しています。医療の知識を持つ管理者であれば、現場も心強く感じるでしょう。

反面、あまりに現場寄りになりすぎてしまい、管理責任者としての責務が疎かになってはいけません。

管理者には、営業、総務、経理等の側面があります。これが疎かになると、組織を適切にマネジメントすることはできません。要は、バランスが大切であるということです。

 

 

介護施設の開業に便利な資格は?

繰り返しますが、介護サービス事業を行う場合には、サービスごとに定められた人員基準を満たさなければなりません。

住宅型有料老人ホーム以外に、ゆくゆく別のサービス事業を展開したいということであれば、開業時に有資格者を取り入れておくことも有効です。

例えば、訪問介護事業を行いたいのであれば、サービス提供責任者の配置が不可欠です。

訪問介護事業の場合、利用者40名までサービス提供責任者を1名以上配置しなければなりませんし、資格要件もあります。介護福祉士の配置は必須ではありませんが、できれば確保したいものです。

また、看護師の資格を持つ職員が複数人いれば、将来的に訪問看護ステーションの開設を視野に入れやすくなるでしょう。

訪問看護ステーションの場合、管理者は正看護師か保健師の有資格者が要件であり、かつ常勤換算2.5名以上の看護職員の配置が義務です。

看護師が何名かいれば、将来的に自社で訪問看護サービスを提供できるようになるかもしれません。

開業にあたっては、以後の展開までイメージができているか否かで、大きく変わってくることをご理解いただくとよいでしょう。

次回は「介護施設の開業に必要な資金(助成金)とは」について取り上げます。

 

 

【介護施設の開業・開設】必要な手続きや流れとは?

今回は、【介護施設の開業・開設】必要な手続きや流れをご紹介します。

【現役】医療介護の営業マン
【現役】医療介護の営業マン
こんにちは、私は福祉用具専門相談員として営業をしております。高齢者の増加は著しく、需要に対して施設の供給が追い付かない状況です。

今回は最近増えている「有料老人ホーム」を例に、施設の開設に必要な手続きや流れをお伝えしていきます。

 

 

介護施設を開業・開設に必要な手続きや流れとは?

最近、特に開設が増えているのが有料老人ホームです。有料老人ホームとは、入居者数に関わらずに高齢者に対して以下のサービスを提供する施設を指します。

  • 食事の提供
  • 介護の提供
  • 洗濯掃除等の家事
  • 健康管理

また、有料老人ホームは「介護付有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」に大きく分かれます。

「サービス付き高齢者向け住宅」という形態も増えていますが、根拠法令の微妙な違いもあるため、ここでは割愛します。

 

 

「介護付有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」の違いとは?

  • 介護付有料老人ホーム「介護保険が適用されるサービスを提供する施設」【制度ビジネス】
  • 住宅型有料老人ホーム「介護保険が適用されないサービスを提供する施設」【営利ビジネス】

住宅型有料老人ホームの場合、介護サービス事業所ではありません。住宅型有料老人ホーム自体の主たる事業収入は「家賃収入や管理費用」といった、不動産的収入となります。

特別養護老人ホーム(※特養)や介護付老人保健施設(※老健)と異なり、公的な補助金もないため、参入障壁はそれほど高くないと思われがちです。しかし、それは大きな間違いです。

有料老人ホームの開設は、決して簡単ではありません。 

 

 

介護施設の開業・開設に必要なものとは?

①法人格

まず、介護事業を運営するには法人格を取得しなければなりません。個人事業者は開業すらできません。

近年では、別事業を営む法人が新規に介護事業を行うケース(不動産事業⇒介護事業、太陽光事業⇒介護事業)も増えています。

法人格であれば介護施設の開設は可能なのですが、サービスの性質上、介護事業の経験が全くない法人が有料老人ホーム事業を行う場合には、慎重な判断が必要です。

設置主体となる行政も、事業未経験の法人に対して開設許可に難色を示すケースもあります。法人新設の場合も、行政との審議を要する場合があります。

 ②事前の入念な事業計画策定

法人格の取得が完了したら、次の課題は開設予定地を所管する自治体の現状把握です。また、土地の手当てが必要です。

有料老人ホームの開設において、事業者が土地を所有するケースはほぼなく、(1)土地オーナーに建物を建ててもらい、(2)テナントとして入居するという、いわゆる「サブリース」の形態がほとんどです。

開設を検討するにあたり、高齢者福祉に理解がある土地オーナーを見つけるだけでなく、契約形態を十分詰めていかないと、後々トラブルになりますので十分な注意を要します。

③開業資金の準備

事業計画の策定と並行して、開業資金の調達が課題です。有料老人ホームの開設には莫大な資金がかかります。まず思い浮かぶのが以下の項目です。

  • 建物賃貸借にかかるイニシャル・コストや内装費
  • 備品や設備の用意(特殊浴槽や給湯設備、ベッド、OA機器など)

運転資金等も含め、億単位の資金を想定する必要があります。自己資金だけでなく、金融機関からの融資も必要となります。お金のかかり方が、在宅系サービスとは桁外れとなりますので、相応の覚悟が必要です。

④介護人材の確保【最大の難関】

土地と資金の用意に目処が立てば、次の課題は人材の確保です。

有料老人ホームを運営する事業者の中には、施設内外に訪問介護や通所介護事業所を設置して企業が多いですが、それも含めて有料老人ホームの運営には人員が必要になります。

適正に人員が配置できなければ、事業を行うことはできません。しかし、介護人材を確保するのは容易ではありません。「人員の確保」という最大の難関が待ち構えています。

採用手段や時期、コスト等、あらかじめ計画しておかないと、本当に痛い目に遭います。

 

 

介護施設を開業・開設するための流れとは?

①開設予定地の市区町村に相談する

介護施設の開業に当たっては、まず開設予定地の市区町村に相談しましょう。理由は、開設予定地に有料老人ホームの整備計画がなければ、開設することはできないからです。

介護施設の整備は、市区町村が策定する「介護保険事業計画」に基づいて行われます。介護保険事業計画は、3年ごとに行われる介護保険法改正の都度、見直されます。

「介護保険事業計画」には、地域の現状を鑑みて不足するサービスがあれば整備する、といった内容が含まれます。「高齢者の増加に対して受け入れ施設が不足しているので、特養をA地域に50床、グループホームをB地域に18床整備する」といった内容です。

有料老人ホームについても同様に、計画に則り整備数を計画します。このように、有料老人ホームの開設には一定の規制がかかっているということになります。

何度も繰り返しますが、有料老人ホーム事業の運営は決して簡単ではありません。

人生の終末期を過ごす方の中には、疾患を抱える方も多く、いつ容態が急変するかもわかりません。高齢者を受け入れるということには、大変な責任が伴うのです。

介護施設運営は長期的視野で行われる必要があります。「開設して数年でやめる」という安易で無責任な考えは許されないのです。地域住民の中には、高齢者施設の開設を歓迎しない人もいます。

中には「認知症の老人が徘徊されては困る」「救急車が頻繁に行き来するのは物騒だ」等々、言いがかりとしか思えないようなことで反対する人も多いのです。

ですので、有料老人ホームの開設にあたっては、長期的視野で行うという覚悟を持ち、地域社会との交流や近隣の住民の理解を得ながら進めることが不可欠です。

また、設置予定地についてどのような法令の規制があるのか等、介護保険事業計画上の調整も含め、地元市区町村の担当部局に十分確認を取りながら進める必要があるのです。

②開設予定地の都道府県に相談する

市区町村との事前相談を終えると、次に都道府県との協議に進みます。これを「事前協議」と言います。事前協議にあたっては、指針に対する適合性を審査します。

都道府県や政令市等では「有料老人ホーム設置運営指導指針」というものが示されています。建物の構造設備や運営面、手続き手順等について細かく規定されており、事業者はこの指針に基づいて開設し届出なくてはなりません。

都道府県や政令市等では、有料老人ホームとしての機能に支障が生じないように、事業者が趣旨及び内容を十分理解されているかを確認し、指導・助言を行っています。

審査は、有料老人ホーム設置運営指導指針の内容に合致しているか、だけに留まりません。

設置予定地が土砂災害のおそれのある箇所等か否か、当該地域を所管する土木事務所に確認が必要ですし、建築基準に合致しているかの確認も必要です。手続きが進んでいくと、消防確認も必要になります。

既存の建物に対して届け出を行う場合にも、注意を要します。建物用途が「共同住宅」や「寄宿舎」等である場合には、「有料老人ホーム」への用途の変更確認が必要です。これを怠ると法令違反となってしまいます。

 

 

有料老人ホーム設置届の提出

有料老人ホームの設置については、老人福祉法の規定に基づき、都道府県知事等あて「有料老人ホーム設置届」を提出します。

この届出の時期は、上記の地元市区町村・都道府県等に対する事前協議が終了し、建築確認後に速やかに提出することになります。これが提出されない事業者は、いわゆる「無届ホーム」という扱いになります。

有料老人ホーム設置届が提出されないままでいると、行政から届出の勧告を受けたり、悪質性が疑われる場合は事業者名の公表や立ち入り調査等、行政指導や行政処分がなされたりすることもありますので、ご注意ください。

④施工完了後、事業開始届の提出

有料老人ホームの施工工事が完了し、事業開始した場合は、速やかに都道府県県知事等あてに事業開始届を提出します。

以上、住宅型有料老人ホームの開業する流れや手続き関する注意点について、解説をいたしました。次回は「介護施設の開業に必要な資格とは?」について配信いたします。