【介護施設の経営で成功するには?】経営術のポイント5選

今回は、【介護施設の経営で成功するには?】経営術のポイント5選をご紹介します。

【現役】医療介護の営業マン
【現役】医療介護の営業マン
こんにちは、私は福祉用具専門相談員として営業をしております。高齢者の増加は著しく、需要に対して施設の供給が追い付かない状況です。

今回は、「介護施設の経営で成功するには?」について考えてみましょう。

 

 

【介護施設の経営で成功するには?】経営術のポイント5選

【経営術1】マネジメント能力を持つ施設長を配置する

介護施設に入居を検討される場合や、スタッフとして就業先を探される場合、ほとんどの場合その施設の責任者である「施設長」と面談します。

※施設によっては「ホーム長」「施設責任者」等呼び方が異なりますが、ここでは「施設長」に統一いたします。

このとき、施設長が入居検討者や求職者に対して親身に接し、疑問点に一つひとつ答えてくれ、様々な不安を解消してくれたとしたら、どうでしょうか?

「この施設に入居したら、きっとよいサービスを提供してくれるかもしれない」「ここなら安心して働ける」と思っていただく可能性は、高まるのではないでしょうか?

相手にそう思っていただくためには、下記の3つにおいて施設長が概ね備わっている必要があると考えます。

介護業務のマネジメント

提供する介護サービスが、適切に確実に提供されるようマネジメントする業務です。あらかじめ決められた介護サービスの内容を守り、かつ、サービスの品質も落ちないよう、スタッフに働きかけます。

上記は、法令で定められた基準を遵守するということも含まれます。

人材のマネジメント

スタッフ採用や教育は、施設長の重要な仕事です。

施設長には、人員に関する基準を遵守した上で、よりよい介護を実現するため優秀な人材を採用し、適切な人員配置をし、介護職としての資質を高めるための教育を施す責任があります。

残業が多すぎないか、疲弊する職場環境になっていないか、スタッフ同士の雰囲気は悪くないか等、ホーム全体を見回して、働きやすい職場になっているかを把握し、コントロールする労務管理も大事な仕事です。

体調の悪い職員が増えれば人員配置に支障が出ますし、離職にもつながります。施設のスムーズな運営には、人材マネジメントが大いに重要です。

収支のマネジメント

施設長には、利益を出すための収支のマネジメント力も求められます。
入居者の確保、無駄な支出の削減を含めた収支管理は、特に本部から求められるところです。

収支のマネジメントは、施設長にとって大変重要な仕事の一つです。

安定して収益を得るためには、入居稼働率が高い状態を維持し続けることが必要です。そのため、施設の広報活動を行いつつ、入居者促進の営業活動を行います。

 

 

【経営術2】収支設計を綿密に行う

終始設計を綿密に行わなければ、経営を続けることはできなくなります。

賃料の設定

売上の多寡にかかわらず、賃料は固定費として重くのしかかってきます。理想は、売上予測金額の10%程度に抑えたいものです。

損益分岐点は低く、かつ適正に

損益分岐点の設定は、管理会計上大変重要です。稼働率ベースにおける損益分岐点は70%程度に維持したいものです。

損益分岐点は低い方がよいに決まっていますが、低く設定するということは、サービスの質を低下させることにつながりやすいからです。法令で定めた基準を下回ることになっては、話になりません。

先に触れた理想の損的分岐点は、あくまで稼働率をベースにお伝えしておりますが、居室あたりの売上額に対する収支が一定以上であることが大前提です。

「稼働率が90%以上と高水準なのに赤字」ということは、居室あたりの売上が低い(コストを回収できない)ということです。

間違っても、このようなことにならないようにしなければなりません。

月額利用料の設定

上記「損益分岐点」の話に直結しますが、月額利用料の設定も重要です。

メインとなる「家賃」「管理費」「食費」を上手に設定することで、入居検討者の負担を軽減することが可能となり得ます。

入居者(ご家族)の状況により異なるので一概にはいえませんが、介護保険や医療費の自己負担分等を合わせて、月額が概ね20万円程度に収まる設定であれば、一般にリーズナブルな価格帯であると言えるでしょう。

施設のコンセプトにより異なりますが、目安として参考にしていただければと思います。

 

 

【経営術3】スタッフの安定的な確保

スタッフの安定的な確保は、介護施設の経営には絶対に必要です。非常に難しいことなのですが、それでもスタッフ確保は手を抜くわけにいきません。

外国人労働者の採用

近年、外国人技能実習生をはじめとする外国人雇用が、少しずつ浸透しています。外国人労働者の採用を不安視する経営者も、多くいらっしゃることは事実です。

外国人労働者を採用し育成するのは、簡単ではありません。その労働者の出身国の文化や宗教、歴史、慣習等を、受け入れる施設側が理解し、接しなければなりません。

「郷に入れは郷に従え」という諺がありますが、これを相手側に押し通そうとしたら良い結果にはなりません。また、たゆまぬ日本語教育や在留管理、他の従業員からの理解も欠かせません。

難しい問題もありますが、上手に外国人労働者に活躍していただくことで、よいサービスを安定的に提供している施設はたくさんあります。

特に、お年寄りを大切にする国として有名なフィリピン人のホスピタリティは、世界に認められています。

給与水準を近隣施設より先に上げる

人件費はここ数年、高止まりの傾向を見せています。

コロナ禍においても、最低賃金は上昇し続けており、必要な施策であることは理解できても、経営者にとって人件費の上昇は非常に悩ましい問題です。

介護事業における新規採用の難易度の高まり、離職率の増加には歯止めが効かない状況です。給与水準をどのレベルに設定するかは、介護ビジネスをする経営者は避けて通れない道です。

介護ビジネスは「人」がすべてと言っても過言ではありません。それを念頭に置かず、いたずらに人件費を削減してしまうと、大やけどを負ってしまいます。

助成金を上手に活用したり、より上位の介護職員処遇改善加算を算定したりして、給与水準を積極的に高めていけるための努力は、当然必要です。

 

 

【経営術4】施設の「唯一無二」を作る

自分たちの施設には、どのような強みがあるのかを分析することも、大変重要です。

強みにもいろいろあります。たとえば、「レクリエーション」「リハビリ」「医療体制の充実」等々・・・

近年では有料老人ホームの増加が目覚ましく、様々な取り組みをしている施設が多いのが実情です。中途半端な取り組みでは、他の施設に埋もれてしまいがちです。

私の知人が施設長を務める有料老人ホームでは「うちは看取りまでやるので、死ぬまで面倒を見ます」と施設長自らが僧侶の資格を取得されたツワモノもいらっしゃいます。

介護施設経営を行う覚悟をしたのなら、施設サービスを高める努力を怠ってはなりません。

 

 

【経営術5】広報・営業活動を継続する

どれだけシルバービジネスが追い風であるとはいっても、漠然と経営すれば運営が成り立つという時代ではなくなっています。

明確な経営戦略を策定することはもちろん、自力で集客できる力が求められているのです。利用者や入居者を増やすためにどのような集客方法を行えばよいのでしょうか。

 

 

介護業界で「集客」が得意になれば?

長年高い稼働率を誇っていた施設でも、近くに同業施設が開業したことで、利用者が一気に減ってしまうということもあるでしょう。

そんなときに鍵を握るのは、病院や居宅ケアマネさんに対する営業活動や施設紹介です。

介護業界のみに従事してきた経営者は、集客に慣れていない傾向があります。「介護=福祉」というイメージが拭えず、福祉業界が営業をするのはいかがなものか、と考える方が未だにいらっしゃるようです。

しかし、営業をするというのは、介護施設を安定かつ長期的に運営するために必要な「手段」の一つであると心得ましょう。

老人ホーム紹介会社との関係構築も必須です。

近年では、病院やケアマネさんから直接紹介を受けることは非常に少なく、老人ホーム紹介会社からの紹介が大きなウエイトを占めています。

それでも、施設として営業活動をしなければならないのは、言うまでもありません。

 

 

コロナ禍でもやるべき広報活動とは?

コロナ禍の長期化により、実地での営業活動が難しい情勢ではありますが、自社の施設サービスを知っていただくための努力は欠かせません。

広報活動の方法はいろいろあります。

  • ホームページの作成
  • オンラインツールを活用した施設見学

さすがにこのご時世、ホームページのない施設はまずないでしょう。凝ったサイトを作成することが重要なのではありません。

必要な情報がわかりやすく記載されていることが重要です。

また、コロナ禍の状況で、施設見学も十分にできないケースもあります。

施設入居を検討していく中で、どこかで施設に出向くことになるわけですが、何度も足を運ぶのは負担であるのも事実です。

ホームページ内にコラムやブログ等を開設し、施設長の考えやイベントの取り組み、その他情報を盛り込み、発信していくことです。

「集客力」を自力で備えている施設には、入居者さんもスタッフも絶えることはないでしょう。

 

 

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