新型コロナウイルスの世界的なパンデミックが発生して2年。長引くコロナ禍が介護現場に与える影響は大きく、家族との面会や人と関わる機会が減ったことで、高齢者の認知機能や意欲の低下、孤立感・孤独感の悪化に悩む介護施設も少なくありません。
そのようななかで注目されているのが、大阪のロボットメーカー「ヴイストン株式会社」が開発に携わったセラピーロボット、「かまって『ひろちゃん』」です。今回の記事では、その魅力を詳しくご紹介していきます。
ヴイストン株式会社とは?
<ヴイストン株式会社ホームページより引用>
大阪を代表する前衛的ロボットメーカー
2000年に大阪で創業して以来、世の中が感動する技術の追求を続ける「ヴイストン株式会社」。
ロボット関連製品の開発から製造・販売までを手がける企業で、一般家庭向けから企業向けのロボットまで、多彩な製品を世の中に送り出しています。
2004年から2008年にかけては、世界的なロボットのサッカー競技会「ロボカップ」にTeam OSAKAとして参戦し、5連覇を達成。その確たる技術力と豊かな発想力を土台に、ツールとしての便利なロボットではなく、寂しい時や楽しい時など、日々の生活のあらゆる場面で利用者と「こころ」を共有できるロボットづくりに情熱を注いでいます。
「かまって『ひろちゃん』」とは?
ヴイストン株式会社が手がけるさまざまな製品のなかでも、介護業界をはじめとする多くの企業から注目を集めているのが、株式会社国際電気通信基礎技術研究所との共同開発によって誕生した赤ちゃん型ロボット「かまって『ひろちゃん』」です。
癒しを目的としたコミュニケーションデバイス
「かまって『ひろちゃん』」は、赤ちゃんを模したぬいぐるみ形状のロボットで、介護を必要とする高齢者の生活の質(QOL)向上を目的につくられました。
赤ちゃんを「あやす」という行為によって癒しを得られるだけでなく、単調になりがちな高齢者の生活に彩りを加え、お世話を通して人の役に立つ喜びや意欲を引き出します。
また、高齢者同士のコミュニケーションのきっかけになったり、高齢者の笑顔が多く見られるようになったり、施設内の雰囲気づくりにも役立つなど、多くの介護施設やケアハウスなどでも導入され、好評を得ています。
「かまって『ひろちゃん』」の特徴
「かまって『ひろちゃん』」は、赤ちゃん型ロボットとはいえ、本体はぬいぐるみ素材でできていて、大きさも実際の乳児に近いサイズのため、抱き心地の良さは抜群です。
内部には動きを感知する加速度センサーとスピーカーが搭載されていて、「抱っこ」や「たかいたかい」といったお世話の方法によって『ひろちゃん』のご機嫌が変化する仕組みになっています。また、お世話をする高齢者自身が、さまざまな赤ちゃんの表情を想像しやすいように、顔のデザインが決まっていないのも特徴です。
さらに、内部のスピーカーからは、赤ちゃん独特の意味のないおしゃべり(喃語)や笑い声、甘えた声など100種類以上の声が動きに合わせて発せられるため、高齢者は実際に赤ちゃんをあやしているような幸福感に満たされます。
介護施設などで一人ひとりの高齢者に『ひろちゃん』を提供できるよう、本体価格をリーズナブルに設定するといった配慮にも、「こころを大切にしたい」という同社のロボット開発に対する熱い思いが感じられます。
その他の製品について
<ヴイストン株式会社ホームページより引用>
ヴイストン株式会社では「ロボット技術で未来を変える」という理念のもと、競技会やホビー用途など幅広いシーンで活用できる「二足歩行ロボット」や、自動運搬や自動搬送に使われる「研究開発用台車ロボット」のほか、「プログラミング教育ロボット」や「コミュニケーションロボット」など多くの種類のロボット開発を行っています。
まとめ
人とロボットが寄り添う社会の実現をめざすヴイストン株式会社。今回は同社が共同開発を手がけたセラピーロボット「かまって『ひろちゃん』」について詳しくご紹介しました。
コロナ禍によってさまざまな制限が生じている介護現場において、「かまって『ひろちゃん』」は癒しの効果をもたらす存在として、今後もさらなる普及が期待できそうです。
大手の人材会社に勤務する、入社6年目の女性営業マン。社内では『医療介護業界の情報通』として鳴らし、業界の主要人物とのパイプも持つ。ネットワークの拡大を目指して、フクロウ介護のライターとして今後さらなる活躍が期待されている。趣味は囲碁と将棋、最近は麻雀の勉強にも励む。