一般社団法人日本車椅子シーティング協会の「車椅子シーティング」をご紹介

普段何気なく取っている姿勢でも、人間の身体ではさまざまな反応が起きています。脳からの指令を神経が伝達し、筋肉が表出することで無意識下であっても重力に負けない姿勢が維持できるのです。しかしながらさまざまな原因で指令の伝達リレーが阻害された時、「座る」という動作でさえも困難になる場合があります。

今回は車椅子をよりよく使用するためのシーティングについて、日本車椅子シーティング協会の車いすシーティングをご紹介します。

日本車椅子シーティング協会

日本車椅子シーティング協会ホームページより引用>

一般社団法人日本車椅子シーティング協会(JAWS)は、医療・介護・福祉における車椅子シーティングを担う事業者の団体です。車椅子と名称にありますが、シーティングについてはバギーや電動車椅子、座位保持装置と呼ばれるものも含め幅広く活躍しています。車椅子シーティングに関わるメーカー、販売店、義肢装具製作所、福祉用具事業所など有志が集まり設立されました。

名称が現在の日本車椅子シーティング協会となったのは2012年からですが、全国工房連絡会議として1980年から活動を始めています。適合技術の普及や教育、製品安全評価基準の策定や行政への提言を行なっています。

車椅子シーティング

日本車椅子シーティング協会ホームページより引用>

車椅子シーティング協会が提言する「車椅子シーティング」は「主に障害者や高齢者を対象とし、食事や休息など人が必要とする日々の動作や、就学や就労やスポーツなどの社会活動を実現するために、おのおのの座位姿勢を最適化するアプローチ」と定義しています。適切なシーティングを行うことで寝たきりを防ぎ、活動性を向上させることでバリアの無い社会活動に参加できるよう支援していくことを目的としています。

車椅子シーティングが必要となる対象

車椅子シーティングは自身で座位を保持することが難しい障害を持つ方を始め、児童や難病患者を対象として考えられています。障害者自立支援法に位置付けられている補装具支給制度をベースとしながら、日常生活用具や入浴補助用具その他の支給制度を用いながら支援を行うことが背景です。制度を利用しながらその人に適した座位を取り、活動性を向上することが求められています。

補装具支給制度を利用するためには障害者手帳の取得が必須となります。もちろんシーティングは工夫ひとつで劇的に変化する場合もあるため、まずは関わっている専門職に相談することが良いでしょう。

車椅子シーティングの手法

車椅子シーティングには様々な手法が日進月歩で開発・研究されています。症状や変形、年齢によってもアプローチ方法が変化しますが、どのような手法であっても目標としているのは「残存能力の活用」と「その人らしさへの支援」です。座位を保持することが困難な方は往々にして下肢や体幹における障害がありますが、座位の安定によって上肢の負担を軽減することで作業能力を向上させることが可能です。できることが増えれば可能性も広がり、ひいては患者・ご利用者の社会参加方法も間口が広がることとなります。

適切なアプローチで可能性を広げる

いかがでしたでしょうか。障害を持つことで諦めなければならないこともありますが、残存能力を活かすことや新たな可能性を切り開くきっかけとなることもあります。可能性は身体的な活動だけでなく精神的活動にも影響し、できることが増えることで未来が広がり、新たな可能性が見えてくることもあるでしょう。

可能性のきっかけがシーティングで得られるよう、支援する目的で設立されたのが日本車椅子シーティング協会です。座位の取り方ひとつでできることが増えるのであれば、これ以上のリハビリはありません。

ひとつ手を加えることで未来を変えられる、日本車椅子シーティング協会の車椅子シーティングをご紹介しました。

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