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介護施設のIT化を阻むものとは
以前、介護施設は買い物がヘタな理由とは【施設管理者は必見】という記事を書いてから気が付いたのですが、介護施設のIT化はどうなっているのでしょうか。
テレビやネットのニュースでは「介護士と入居者の需要と供給が釣り合わず、今後は介護士の確保が急務です」と言われています。
今月より入職した経験者の新人の方はもう辞めてしまいました。
— 富士 (@kaedechan_hari) January 22, 2021
将来的にも人手不足が変わらないのであれば、ITやロボットの力を頼らざるを得ないと考えても当然です。2020年からは、国や自治体でもITや介護ロボット導入の助成金が積極的に出されています。
介護施設で対象となるIT機器とは
まず、介護施設で対象となるIT機器をご紹介します。(参照:「国内の高齢者向け施設の IT 導入の一考察」『商経学叢 第66巻第1号 2019年7月』田口 由美子)
IT機器の詳しい情報を知りたい方には、介護ロボットポータルサイトのサイトをご覧ください。
今朝の読売新聞に、ロボットを導入している介護施設が増えている話題が載ってます。#aibo #LOVOT pic.twitter.com/W5HLMIr54R
— あい⭐️ (@aibo_ai_0216) March 27, 2020
①介護報酬の請求事務処理ツール
ここは介護ソフトメーカーの得意分野です。大手メーカーとしては、ほのぼの(NDソフトウェア株式会社)やワイズマン(株式会社ワイズマン)、絆(株式会社内田洋行)などがあります。
介護ソフトは請求業務のみならず、ケアプランや勤務表まで作成できるのが強みです。メーカーにより得手不得手があるため、導入前の比較検討を強くおすすめします。
②利用者の介護記録ツール
こちらも介護ソフトメーカーが強い分野です。最近では、事務所ではなく施設のあらゆる場所から記録が付けられる様に、タブレットやスマホから入力ができる商品もあります。
また、ソフトにAI(人工知能)を搭載して、スタッフの一挙手一投足まで把握できる商品も登場しました。どこまでの記録が必要か、ぜひ皆さんでお考えください。
③移動支援機器
こちらは利用者さんの移動を支援します。バッテリーを搭載して移動をアシストする歩行器から、モーターを搭載して転倒を防止するロボティックウェアまで、できる限り利用者さん1人での移動を後押しします。
④移乗支援機器
こちらは利用者さんの移乗を支援します。以前は介護リフトが有名でしたが、最近ではスタッフが身体に装着するマッスルスーツやパワースーツの開発も進んでおり、介護施設にスーパーマンがやって来る日も近そうです。
介護の仕事は、下手すりゃ命に関わる場面もあるわけで、もちろん仕事中は集中しないといけない。
でも別にだからと言ってスーパーマンでもなんでもないから、時には休んだり気分転換しないと潰れる。
という事を、介護士自身しかり関係者しかり、理解してない人がちょくちょくいる。— ごろにぃ@介護コンサル (@goronyi_kaigo) October 28, 2018
⑤排泄支援機器
こちらは利用者さんの排泄を支援します。排泄介助はスタッフと利用者さんの双方に負担が大きい作業ですので、大きな期待が寄せられている分野です。
排泄予測のロボットとしては、利用者さんのおむつに軽量のセンサーを搭載して、膀胱の膨らみでトイレに行くタイミングを計る商品などがあります。
センサー鳴るから
走って行ったのに何?何のよう?
私の部屋を
覗かないでちょうだいフンッ
年寄りなんて
何にもわかっちゃしない痛い目に合えばいいんだ
— やさぐれ介護士@ボヤキ垢 (@okachimnko) March 15, 2021
⑥入浴支援機器
こちらは利用者さんの入浴を支援します。介護浴槽メーカーなどが取り組んでおり、リフトやシートを浴槽に付属させて、利用者さんの移乗をサポートします。
介護浴槽の買換えを導入しておられる施設であれば、セットで購入を検討されても良いかもしれません。
⑦見守り支援機器
こちらは利用者さんの見守りを支援します。離床センサーや顔認証センサーが主流ですが、最近はベッドにセンサーを付属して、利用者さんの脈拍・心拍・呼吸を測定する眠りスキャンなるものも登場しています。
センサーがあれば見回りや巡回の頻度を減らすことが可能ですが、センサーの活用にはWiFi環境の構築が必須であり、予算の確保が悩みどころです。
⑧コミュニケーションロボット
こちらは利用者さんのコミュニケーションを支援します。ソフトバンクのPepper(ペッパー)が有名ですが、大手電機メーカーを中心に開発が進められています。
「同じ作業を飽きずに繰り返す」ことがロボットの強みですので、これからも様々な分野で活躍されることが期待されています。
便利なのに導入が進まない理由とは
さて、ここまでご紹介したとおり、IT機器や介護ロボットがあれば現場の作業が楽チンになるのは明らかです。人材不足に悩まなくても良くなるかもしれません。
介護業界ってどうなるんだろう?
未来の介護施設ってどうなると思います?
何十年後はAIロボット?と一緒にやってたり
するのかな?その頃には福祉用具の機能が発達して
介助者も必要なくなる?今ある介護施設が成長していく?
それとも介護施設に変わる何かが誕生して
今ある施設がなくなる?— ごすけ (@4AK6iixwhzV3lAi) June 23, 2020
ところが、未だに介護施設への導入が一向に進まないのは、どういった理由からでしょうか。お客様の施設長にヒアリングした結果をお伝えします。
①予算が確保できない
「機器を導入するための予算が確保できない・・」金銭的問題が1番大きな阻害要因としてあるそうです。
しかし、記事の冒頭でご紹介したとおり、令和に入ってからは助成金情報が豊富にあり、以前と比べると導入へのハードルは低くなっているはずです。
私の素人的考えにも顔色ひとつ変えず、施設長は続けます。
「あのね、どれだけの施設長が助成金情報を知っているのか?知っていても使い道を考えているのか?情報を持ってくる業者は、現場の課題を考えて機器を提案しているのか?」
グゥの音も出ません。お金がない以前に、必要な情報がないのです。
②ITに詳しいスタッフがいない
「ITに詳しいスタッフがいない・・」こちらも大きな阻害要因としてあるそうです。施設管理者は多少わかるけど、現場責任者やスタッフは皆目わからない、こんな施設もたくさんあるのではないでしょうか。
そもそも、介護業界で働く方は機械関係に苦手意識がある方が多く、「IT」「ロボット」という単語を聞くだけで抵抗感を抱いてしまいがちです。
導入に向けてスタッフの抵抗に遭い、導入してもITに詳しいスタッフがおらず倉庫に放置。この流れが見えているからこそ、施設管理者も真剣に検討しない。
見事なまでの負の連鎖が見え隠れします。
③介護現場に詳しいIT業者が少ない
「介護現場に詳しいIT業者が少ない・・」この問題の半分は、IT機器を販売する業者側にあります。残りの半分は、介護施設の施設管理者です。
さて、介護施設にIT機器を販売する業者は、リ●ーや大●商会が有名です。普段、これらの業者が何を販売しているかと言えば、コピー機や複合機などの印刷商材です。
以前、とある施設で介護ソフトのプレゼン風景を拝見しましたが、説明するのは介護ソフトメーカーの営業マン。お隣の三●電機の営業マンは偉そうに座っているだけでした。
彼らの仕事は、施設にメーカーを紹介して商談をまとめることです。コピー機の選び方や複合機の入れ替えなどは超得意ですが、介護ソフトの操作方法は知りません。
つまり、彼らに「介護施設の課題を踏まえて提案して欲しい!」というのは土台無理な相談です。「それはメーカーの仕事です」と言われておしまいです。
「お前ら、ちょっとは勉強してこいよ!」と言いたくなる気持ちもお察ししますが、それも無理です。より大きな顧客フォローに時間を割かれ、満足に対応できないのが現状です。
業者依存は破滅への架け橋です
このように考えてみると、介護施設の業者依存が浮き彫りになります。IT機器を導入する大きなハードルである、①助成金の情報提供②IT機器導入後のフォローがリ●ーや大●商会ならできます。
「私どもにできないことは、クスリと武器の販売です」と知り合いになった営業マンが言っていました。それ以外のことは何でもできるという自慢ですね。
今日現在とても迷惑と感じてる
1 大塚商会のしつこい訪問セールス。
2 不用品買取電話が嘘ばっかり。家に入れたら恐喝まがいに品物を出させる。
3 NTT代理店と語る詐欺師達。NTT見て見ぬふりはやめてくれ。— ボス犬(子分4匹) (@toypudad) June 18, 2018
この口車に乗って取り込まれたが最後、自分たちでは何もできなくなります。本来は必要ないものまで契約までさせられて、高額なリース料だけ払い続ける運命が待っています。
このような状況に陥りたくなければ、名前だけで業者を選ぶことは絶対におすすめしません。
「業者の担当者が介護業界の内情に詳しいか」「せめて知る努力をしているか」をきちんと見極めて、信頼できれば話を聞いても良いでしょう。
地方の福祉用具販売店に勤務する、唯一の女性営業マン。施設の管理者さんと仲良くなるべく、麻雀にゴルフにバス釣りまで何でもこなす。本当の趣味は居酒屋めぐりだが、現在はコロナ禍の影響で自粛を強いられており、家のソファでマッコリを片手に韓ドラ鑑賞が唯一の楽しみ。