【介護施設】LED照明の工事費用とは?電気代が節約?

今回は、【介護施設】LED照明の工事費用をご紹介します。

【現役】設計の請負業者
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この記事では、「LED照明に変えるべきタイミング」「LED照明に変えるメリットとデメリット(注意点)」「LED化にかかる費用と工期」について解説していきます。

 

 

【介護施設】LED照明の工事費用とは?

LED照明に変えるべきタイミングとは?

最近、照明器具を既存の蛍光灯や電球・水銀灯などから、省エネで長寿命のLED照明に交換するケースが非常に増えてきました。

LEDの電球が世に出回り始めた10年前は「電球1個5,000円」という時代もかありましたが、今では普及が進み、非常に買い求めやすくなりました。

さて、照明器具をLEDに変えるタイミングですが、結論から言うと「今すぐに」交換すべきです。介護施設のような安全性を特に重視したい施設では、既存照明の交換は喫緊の課題といえます。

  • 既存のランプが入手不可能になる

国内主要メーカーでは既に電球や蛍光灯、水銀灯のランプ製造を終了しています。世に出回っているランプは無くなり次第、入手不可となるのです。

その大きな理由は、蛍光灯や電球、水銀灯の球の内部に封入されている「水銀」の製造や輸出入を禁止する「水銀に関する水俣条約」が2021年に発行されたことです。

  • 自然災害への備え

地震大国ニッポン、いつ起こるかわからない大地震への備えとして、いち早く既存の照明器具をLEDのような安全性の高い照明器具に交換しましょう。

蛍光灯や電球、水銀灯が床に落下しガラス片が飛散するだけではなく、ランプの中に封入されている粉末状の水銀が空間中に飛散します。

 

 

LED照明化のメリットとデメリット(注意点)とは?

既存の蛍光灯や水銀灯等の照明器具をLEDに交換することにより、大きなメリットがもたらされます。同時に、既存照明器具をLEDに交換する際に気を付けなければならない点もあります。

【メリット】

  • 介護施設のランニングコストを大幅に削減

消費電力量が大幅に減少する為、介護施設のランニングコスト削減に効果覿面です。直管蛍光灯タイプなら電気消費量は約1/3、電球タイプなら実に1/10になります。

また、蛍光灯や白熱球と違い高熱を発しない為、冷房コスト削減にも効果があります。更に、ランプの寿命は蛍光灯の5倍、白熱球の10倍以上ですので、ランプ交換にかかるコストも抑えられます。

  • 健康被害の抑制

蛍光灯や白熱球と違い、LEDはほとんど紫外線を発しません。紫外線による皮膚や眼球等への悪影響を気にしなくて済みます。

また、紫外線をほとんど発することがないという事は、害虫を寄せ付けないという効果もあります・すべての虫に対してではありませんが、大部分の害虫に対して効果があります。

【気つけたいポイント】

  • 光の広がり方が変わります

蛍光灯や白熱球と違い、LEDは光の直進性が強く、光がストレートに照射されます。蛍光灯や白熱球のように広がりのある丸い光に慣れていると、初めは違和感を感じるかもしれません。

  • 「ポン付けタイプ」のLEDはあまり効果がない

既存の器具をそのまま使いランプだけを交換するタイプ(特に蛍光灯)の製品は、消費電力削減のメリットがありません。既存の蛍光灯器具には「安定器」と呼ばれる回路器具が内蔵されていて、この安定器が電力を消費する元凶です。

また、長期間使っていると安定器が劣化し、点灯しなくなるばかりか火災発生のリスクも高まります。

ランプだけをLEDにしてもあまりメリットが出ませんので、LED専用の器具にするか、既存器具の配線工事を行い安定器を通さない回路に変更することをお薦めします。

 

 

LED照明化にかかる費用と工期は?

「既存の照明器具をLED化するには、どのくらいのコストと時間がかかる?」

LED導入を検討されている方にとっては、一番知りたいポイントだと思います。メーカーや交換する台数、その他条件により費用と工期が大幅に異なるため一概には言えませんが、私が先日行った既存照明器具のLED工事費用をご紹介します。

【費用と工期】

  • 広さ約100坪・40形蛍光灯本数150本(蛍光灯器具75台)・既存器具配線改造
  • 外した蛍光灯はお客様が処分・LED40形直管蛍光灯タイプ(国内メーカー製)
  • 6,000円×150(本)=900,000(税別・工事費込)
  • 3人作業で約8時間程度

この実例は、既存の照明器具から蛍光灯を外し、傘の内部の配線を改造(バイパス工事)、そのまま利用したケースです。器具の劣化は進んでいましたが、幸い蛍光灯の差込ソケットがそのまま使えました。

ソケットの劣化により交換が必要な場合はさらに費用が掛かります。また、器具改造ではなく、器具ごと交換する場合はさらに費用が掛かりますので、必ず複数社相見積もりを取り、現地調査をしてもらいましょう。

 

 

【介護施設】LED工事に寄せられた口コミ

以下、介護施設や障害者施設で勤務されていらっしゃる皆さんにアンケートをお願いしました。

【質問項目】

  1. ご勤務先の施設とポジションは?
  2. 施設で取り換えたLEDの本数は?
  3. LED化にかかった費用は?
  4. 施設照明をLEDに取り換えた「メリット」「デメリット」は?

 

  1. 通所介護事業所の施設長
  2. 20本
  3. 60万円
  4. 1番のメリットは電気代の節約になっています。この他にも大きなメリットがあり、それは熱くならないという事です。普通の照明だと熱が産生されてしまい、とても熱くなり、エアコンを過剰に付けなくてはならなかったですが、LEDに変更してから、無駄な熱さはなくなりました。
    1番のデメリット初期費用が高い事が挙げられます。他に大きなデメリットは見当たりません。
  1. デイサービスの管理者
  2. 100本
  3. 350万円
  4. 電球交換の必要がこれでなくなりました。節電効果もあり、明るさも自然体になりました。室内の印象もかなり変わりました。
    デメリットはやはり高かったことですね。デイサービスを併設した施設でしたから、やるなら全てが対象になりましたし。交換は必要ないですが、トラブル時は必ず業者を呼ばないとダメらしいですね。簡単ではなさそうです。
  1. グループホームの生活支援員
  2. 5本
  3. 10万円
  4. メリットしては応対速度が速いため、蛍光灯のようにインバータなど周辺機器の力を借りなくても、通電することで瞬時に点灯ができること。 例えば、工場や倉庫、体育館などで多く使われている水銀灯をLEDに交換することで、それまでよりも快適にお使いいただけます。また、休憩時間などの小まめな消灯を心掛ければ、省エネにもつながります。
    デメリットとしては.価格が高い LED電球は他の電球に比べて高価で、電球が重い LED電球は、電源回路が入っているため、同じサイズの白熱電球や蛍光ランプと比較してかなり重量があり、光に指向性がある 他の電球の光はすべての方向に等しく放射されますが、LED電球の光は指向性があるのでその点少し残念であります。
  1. 介護施設の生活支援員副主任
  2. 60本
  3. 200万円
  4. 以前は照明と照明の間隔が広く、薄暗い施設内でした。利用者さんの把握がしづらく、また保護者の方が来られるとイメージも悪かったです。LEDにしてからは施設内が明るくなり、イメージもがらりと変わりました。低コストで施設内のイメージを変えれるのはメリットです。
    デメリットとしては導入費用がやや高いことです。ランニングコストを考えるとそれも解消されると思います。
  1. 特養ホーム事務員
  2. 50本
  3. 160万円
  4. 将来的な運用コストを見直し、LED照明への切り替えを行った。デメリットとして初期投資、作業費用が高額だったことが痛手だったと思う。まずは利用者様の部屋から交換を開始し、順次施設全体の照明の切り替えたいと思っている。メリットはやはり長期的な視点でのコストカット、照明寿命の延長から労力の削減を目的に交換に切り替えた。
  1. 施設のセンター長
  2. 200本
  3. 300万円
  4. 先ずは電気代の節約につながっていると思います。実際前年同期比で電気代が下がっているとは言い切れません。しかし、何年か経てば投資額は回収できると考えています。
    また、電球切れの交換も必要なくなりました。今までは2年に一度は交換していましたがその必要がなくなりました。これにかける費用、手間、人件費も節約できるようになりました。これと言ってデメリットはございません。

 

 

 

【介護施設】LED照明の工事費用のまとめ

介護施設の既存の蛍光灯や水銀灯等器具をLED化することにより、施設のランニングコスト、特に電気代が大幅に削減され、大地震などの災害発生時の安全性を大幅に高めることが可能です。

地球環境保護・入所者さんの安全も考え、早めのご検討をお薦めします。

 

 

【障がい者施設の整備・改修】工事費用や補助金とは?

この記事の監修者
斉藤 正行
一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長

1978年に奈良県生駒市で生まれる。2018年6月に一般社団法人全国介護事業者連盟の設立に参画、2020年6月に理事長に就任。この他、介護団体・法人の要職等を兼任し、介護業界の発展に心血を注いでいる。

今回は、【障がい者施設の整備・改修】工事費用や補助金をご紹介します。

【現役】設計の請負業者
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この記事では、「障がい者施設の改修や整備工事の検討が必要な建物の症状」「利用できる行政の補助金」「改修工事の依頼から完了までの流れ」について解説していきます。

 

 

施設改修を検討すべき症状とは?

障がい者施設における施設内の外観や室内などの改修や整備工事は、以下の3つの症状がある場合に検討してみてください。

  • 空調設備や正常に稼働していない
  • 食堂が解放的になっており、利用者の特徴に合わせた対応が取りづらい構造になっている
  • 建物が老朽化している

①空調設備や正常に稼働していない

空調設備が正常に稼働していない場合、できるだけ早く改修や整備工事(改造工事)を行う必要があります。

空調設備は、換気や室内の空気の清浄化など体調面を維持するうえで欠かせない役割を担っているため、こういった症状を放置したままでいると入居者の健康に悪影響を及ぼす恐れがあるためです。

利用者(入居者)の方の中には、抵抗力が弱く体温調整が苦手な方もいるため、速やかに工事を実施することを検討するようにしてください。

②利用者の特徴に合わせた対応が取りづらい構造

施設内に完備している食堂が開放的な造りになっている場合、食事環境を整えるための工事を検討することをおすすめします。

施設の利用者の中には、食事に関して強いこだわりを持つ方がおり、開放的な造りになっていることでご飯を食べるのがままならなくなってしまう場合があるためです。

このため、例えば個室ブースを造ったり、間切りをするための設備を設置するなどを検討してみてください。

そうすることで、サポートをしやすくなるうえに、それぞれの利用者に合わせた食事環境を提供することが出来ます。

③建物が老朽化している

障がい者施設の建物自体が老朽化や劣化している場合、できるだけ早く改修工事を行う必要があります。壁にヒビが入っていたり、床の傾斜やきしみなどの症状がある場合です。

こういった症状がある場合、建物自体の耐久性が弱くなっている可能性が高いため、放置したままでいると建物の倒壊やコンクリート片の落下を招く恐れがあります。

このため、建物が老朽化していると感じた際は、できるだけ早く専門家に見てもらい、改修や建て替え工事などを検討するようにしてください。

 

 

改修の大まかな流れとは?

障がい者施設における設備や建物自体の改修(整備など)を行う場合、主に以下の流れで工事を行います。

  • 改修工事の業者を選定・契約する
  • 契約した業者による施設の状況確認
  • 改修工事の計画や設計後に、予算や見積もりの確認を行う
  • 改修工事の開始から完了

ただし、必ずしも上記の流れで工事が進むとは限りません。業者によっては、現場調査を行う前に施設の図面を見て大まかな見積もりを出すケースもあるためです。

このため、障がい者施設の改修や整備工事を行う際は、どのような流れで進めていくのか、まず工事業者に確認を行うようにしてください。

①改修工事の業者を選定・契約する

障がい者施設に限らずですが、改修や整備工事を行う際は、「依頼する工事業者の選定を行い、工事請負書などの書面を交わして契約を締結」します。

この改修工事を依頼する業者を選定する際は、「障がい者施設の改修工事を得意としている業者」と契約を締結するのがおすすめです。

こういった業者に依頼することで、利用者のニーズや機能性を考慮した建築計画を立ててくれることを期待出来ます。

②契約した業者による施設の状況確認

工事業者の選定や契約締結後は、業者による障がい者施設の状況確認です。

この状況確認を現場調査と言い、建物や設備がどの程度劣化しているのか、どのような不具合や症状が生じているのかなどの調査が実施されます。

なお、足場を組んで工事を行う必要がある場合は、設置が難しい場所はないか、機材を公道に設置する必要があるのかも含めた調査が必要です。

仮に公道に足場を組む必要がある場合は、行政に許可を取る手続きをとらなければいけません。基本的には業者が手続きを行なってくれますが、依頼した企業によっては依頼者に任せるケースもあるようなので、事前に確認しておくようにしてください。

③改修工事の計画や設計後に、予算や見積もりの確認を行う

現場調査で調査した内容をもとに、改修工事の計画や設計、見積もりの確認を行います。

障がい者施設の利用状況や建物の老朽化の程度、施設側の意見や要望、希望予算などを踏まえて、双方の意見を擦り合わせながら改修工事の計画を立てる流れです。

④改修工事の開始から完了

ここまでの一連の流れを踏んだ後、工事の施工実施や竣工、予定日の引き渡しが行われ、障がい者施設の改修工事は完了となります。

ただし、大規模な改修工事を行う場合、当初の予定日に引き渡しが行われないケースも少なくありません。

特に施設の運営と改修工事を並行して行う場合、利用者や建物の安全性を確保しながら工事を行う必要があるため、状況によっては予定していた日数よりも竣工日が大幅に伸びる可能性があります。

このため、大規模な改修工事を行う際は、竣工日が延長させる可能性があることを考慮しながら対応するようにしてください。

 

 

改修にかかる費用とは?

障がい者施設の改修工事を行う場合、依頼した業者や改修・整備する箇所によってかかる費用が異なります。目安となる価格を知ることは重要なので、ここでは一例を紹介します。

生活介護事業(定員80名)や施設入所支援事業(定員3名)の障がい者施設の空調設備の改修工事(改修工事計画及び改修工事)を行なったケースです。

このケースでは、施設全体の空調設備が老朽化していたため、機器の入れ替え工事を実施し、約2,400万円の工事費用が発生していました。しかし、この工事では「一般社団法人 環境共創イニシアチブ」という企業が提供している「建築物節電改修支援事業費補助金」を活用して500万円の補助金を受けたため、施設側が実質的に負担した費用は約1,900万円だったそうです。

なお、この事例は平成21年ごろに実施された改修工事となっているため、必ずしも上記で解説した補助金を利用できるとか限りません。このため、企業が提供している補助金の利用を検討されている方は、事前に会社に確認を行うようにしてください。

 

補助金を使って改修できる?

障がい者施設の改修工事を行う際は、行政機関が設けている補助金制度を利用できるケースがあります。

例えば、大規模な改修工事を行う場合です。空調設備やユニット化などの大規模な整備工事を行う場合、厚生労働省が設けている補助金を利用して整備費(工事費用)の1/2を補助してもらうことが出来ます。

ただし、上記で紹介した補助金は、全ての障がい者施設でこの制度を利用できるとは限りません。補助金の対象となっている工事内容の中には、補助の対象としている施設を限定しているものもあるためです。

このため、補助金を利用して改修工事を行いたいと考えている方は、事前に経営する施設が属する自治体などに確認を行うようにしてください。

施設整備の際に利用できる補助金

障がい者施設の整備を行う場合、厚生労働省が設けている補助金制度を利用することが可能です。

具体的には、「障がい者総合支援法第5条に基づく障害福祉サービス事業所などに該当している障がい者施設」の整備工事を行う際に、厚生労働省が設けている補助金制度を利用することが出来ます。

なお、厚生労働省が設けている補助金を利用した場合、原則「国から整備工事にかかった費用の1/2」を補助してもらうことができ、「都道府県から1/4」にあたる金額の補助金を支払ってもらうことが可能です。

また、民間の事業者が運営する障がい者施設では、施設の整備に伴う必要なお金の融資を受けることも出来ます。

大規模な改修工事を行う際に利用できる補助金

障がい者施設における電気やガスなどの設備の取り替えや利用者(入居者)のニーズに合わせた大規模な改修工事を行う際は、施設整備と同様に厚生労働省が設けている補助金を利用することが可能です。

具体的には、厚生労働省が定めている「施設の一部改修」や「施設の冷暖房設備の設置」など、対象となる事業の大規模な改修工事を行なった際に、それぞれの工事内容に応じて算出された補助金を受給することが出来ます。

ただし、厚生労働省が定める全ての障がい者施設に、この制度が適応されるとは限りません。

例えば、厚生労働省が定める障がい者施設の「施設の冷暖房設備の設置」の改修工事を行なった場合、その障がい者施設が「入所施設」または「無料低額宿泊所」であることが条件となっているためです。

このため、厚生労働省が設けている助成金を利用する場合は、事前に「自身が経営する障がい者施設における改修工事内容が対象となっているのか」などを確認するようにしてください。

 

 

【現役建築士】からのアドバイス

障がい者施設は、それぞれの利用者(入居者)の個性や、安全性・機能性などを考慮して施設の改修や整備工事(建て替え)を検討することが重要になります。

利用者によって、食事や活動中などに感じる不安要素やこだわるポイントが異なり、例えば食堂が開放的になっていることで食事自体がままならなくなってしまう方もいるためです。

しかも、障がい者施設の利用者の中には、突発的に何らかの行動を起こす方もいるためため、入居者に合った構造に変えることで不足の事態に備えた対応を取りやすくなるといったメリットもあります。

このため、障がい者施設の改修や整備工事を実施するか悩んでいる方は、それぞれの入居者の個性を考慮して、施設の安全性や機能性を高めることを検討してみてください。

 

 

この記事の監修者
斉藤 正行
一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長

1978年に奈良県生駒市で生まれる。大学卒業後、コンサルティング会社に入社。その後、介護業界に転身。老人ホーム会社の取締役運営事業本部長などを経て、2013年8月に株式会社日本介護ベンチャーコンサルティンググループを設立。2018年6月に一般社団法人全国介護事業者連盟の設立に参画、2020年6月に理事長に就任。この他、介護団体・法人の要職等を兼任し、介護業界の発展に心血を注いでいる。

 

【介護施設の整備・改修】工事費用や補助金とは?

この記事の監修者
斉藤 正行
一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長

1978年に奈良県生駒市で生まれる。2018年6月に一般社団法人全国介護事業者連盟の設立に参画、2020年6月に理事長に就任。この他、介護団体・法人の要職等を兼任し、介護業界の発展に心血を注いでいる。

今回は、【介護施設の整備・改修】工事費用や補助金をご紹介します。

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今回は「介護施設で改修を検討すべき症状や改修工事の流れ」「改修・整備工事をする際に利用できる補助金」について解説します。

 

 

施設改修を検討すべき症状とは?

介護施設における改修や整備は、以下の4つの症状がある場合に検討することをおすすめします。

  • 空調設備が機能していない
  • お風呂の設備が故障している
  • 施設が老朽化でヒビ割れや水漏れしている
  • 入居者のプライバシーが守られていない

①空調設備の故障

介護施設内に設置した空調設備が機能していない場合、改修や整備工事を行う必要があります。空調設備の効きが悪くなっていたり、機器自体が作動しなくなっているなどの症状がある場合です。

空調設備は室内の温度調整や空気の清浄、気流の調整など、快適な生活をするうえで重要な役割を担っているため、正常に稼働していないと入居者が体調不良を起こしてしまう危険性が高くなります。

高齢者の方は、皮膚の温度感受性が鈍くなりやすく、暑さなどを感知しにくくなり重度の熱中症を招く危険性もあるため、できるだけ早い内に改修・整備を検討しなければいけません。

②お風呂の故障

お風呂の設備が故障している場合、整備や改修を行うことをおすすめします。例えば、お湯の出が悪くなっている場合です。

こういった症状が出ている場合、介護補助の業務に支障をきたすうえに、いつお風呂が使えなくなってもおかしくないため、設備の症状が悪化する前に整備や改修を行なった方が賢明だと言えます。

また、浴室内に滑り止めがなかったり、角が尖っていて入居者に怪我をさせてしまう危険性がある場合も改修・整備の検討が必要です。

これらに該当する浴槽を設置している場合、打ちどころが悪いと怪我だけでは済まなくなってしまう可能性も十分に考えられます。

浴槽内に滑り止めが設置してあったり、角が丸まっている浴槽など、安全性の高い浴槽設備に交換することを検討してみてください。

③建物のヒビ割れや水漏れ

施設の建物が老朽化しており、ヒビ割れや水漏れが発生している場合も、すみやかに改修工事を行う必要があります。

こういった症状がある場合は、建物自体の安全性が脅かされているため、放置したままでいると倒壊を招く危険性が高いためです。

建物の老朽化や劣化状況によっては、改修工事ではなく建て替えが必要になるケースもあります。建物の壁にヒビがあったり、水漏れが発生している場合は、できるだけ早く専門家に診てもらうようにしてください。

専門家に建物の状況を確認してもらうことで、現在の建物の安全性を詳細に把握できるうえに、改修工事で済むのかなどを明確に判断してもらうことが出来ます。

④入居者のプライバシーが守られていない

介護施設の中には予算や土地の規模などの問題により、相部屋を採用している施設が少なくありません。

しかし、相部屋は入居者同士のプライバシーが守られにくく精神的負担に感じる方も多いため、個室(ユニット型)などのプライバシーが守られる部屋の構造に変えることがおすすめです。

プライバシーを守れる部屋を提供することで、入居希望者のニーズに応えることができ、施設の運営自体にも良い影響を与えることが期待できます。

介護施設を探す際に、「その施設が個室部屋を用意しているのか」を重要視して入居施設を決める入居希望者が増えていることからも明らかです。

 

 

改修や整備の大まかな流れとは?

自身が経営している介護施設の改修工事を行う場合、依頼した業者によって手順が異なるケースもあるようですが、一般的には以下の流れで進めていきます。

  • 依頼する改修工事の業者を選定する
  • 業者による建物の状況確認や診断
  • 改修工事の計画や設計を行い、予算の確認
  • 改修工事の施工開始から完了

①依頼する改修工事の業者を選定する

介護施設の改修工事を行う際は、まず「依頼する改修工事の業者の選定を行い、契約を締結」します。

この依頼する改修工事の業者を選ぶ際は、「その業者が得意としている工事や保有している技術」に注視して選定するようにしてください。業者によって得意としている工事内容が異なるためです。

改修や整備を行なってもらいたい箇所を得意としていない業者に依頼してしまった場合、思っていた通りに仕上がらず、再度工事をし直さなければならない事態に陥るかもしれません。

②業者による建物の状況確認や診断

業者を選定・契約した後は、介護施設の現場調査や診断です。現場調査や診断では建物がどの程度劣化しているのか、どの箇所にどのような不具合が生じているのかが、明確になります。

なお、現場調査や診断の際に、利用できる補助金の条件を満たして改修工事ができるのかも踏まえて調査してもらうことも可能です。

対象となる施設が属する、自治体や知事が定めている条件を踏まえて現場調査をしてくれるため、公的な制度を利用できるのか知ることが出来ます。

当然、必ずしも補助金の利用が出来るとは限りません。自治体によって利用できる制度が異なるため、場合によっては補助金を利用できない可能性があります。

補助金を利用して改修・整備工事を行いたいと考えている方は、事前に業者にその旨を伝えておくようにしてください。

③改修工事の計画や設計を行い、予算の確認

現場調査や診断が完了後、改修工事の計画や設計、予算の確認を行います。

具体的には、介護施設の状況や入居状況、調査結果などを踏まえたうえで、依頼者の要望や予算内で計画を立て、打ち合わせをしながら改修工事の設計や計画を立てる流れです。基本的には設計や計画の擦り合わせ後に予算の確認を行います。

希望予算の範囲内で見積もりを出してもらえることがほとんどですが、施設の状況や業者によっては、希望する予算内から大幅に上回るケースもあるため注意が必要です。

④改修工事の施工開始から完了

上記で解説した一連の手順が完了後、改修工事の施工開始日や竣工日が確定し、工事実施や引き渡しが行われます。

ただし、予定している竣工日(工事が終わる日)に改修工事が完了となりますが、状況によっては予定した日数よりも工事が伸びるケースも少なくありません。

特に、大規模な改修工事を実施する場合に、竣工日が延びるケースが多くあります。仮に工事予定日が延びる場合は、事前に業者から相談がありますが、工事期間が延長される可能性があることを考慮して対応するようにしてください。

なお、大規模な工事を行う場合は、定期的に介護施設側(依頼者)と施工者側で工事の進行状況や追加工事の有無などの打ち合わせが行われます。その際、業者によっては工事内容の変更などを依頼することも可能です。

とはいえ、必ずしも全ての業者が追加工事に応じてくれるとは限りません。このため、追加工事や予定していた工事箇所をなくして欲しいなどの要望がある際は、事前に依頼する工事業者に確認を行うようにしてください。

 

 

改修や整備にかかる費用とは?

介護施設における改修工事は、依頼した業者や改修・整備箇所によってかかる費用が異なります。例えば、大規模な改修工事を行う場合、1億円以上のまとまったお金がかかるケースも少なくありません。

しかし、目安となる数字を知りたい気持ちもよくわかります。実際に介護施設で行われた改修・整備工事の事例を基に、改修工事にかかる費用の目安をご紹介します。

①大規模な改修工事の費用

大規模な改修工事を行なった場合、施設の規模によってかかる費用が異なります。

例えば、東京都福祉保健局施設支援課が公表した「大規模改修修費補助の活用事例」を見ると、「超強化型の入所48床、通所リハビリステーション15名規模の介護施設」を改修した際にかかった費用は、約1億4,000万円にも及ぶことが分かりました。

同資料の具体的な改修箇所を見ると、以下の箇所の改修を行なっています。

  • 建物改修工事
  • 電気設備工事
  • 給排水衛生設備工事
  • 換気設備工事
  • 外壁改修工事

上記の改修工事では、具体的にかかった費用の内訳は公表されていませんが、助成金を活用して介護施設の工事を行なったそうです。

②浴室の改修工事の費用

介護施設の浴室の改修工事を行う場合も大規模な改修工事と同様に、施設の規模や老朽化の程度、入居状況によってかかる費用が異なります。

例えば、築年数30年の特養50名、短期入所20名、通所介護30名の介護施設の浴室やトイレなどの改修工事を行なったケースです。浴室やトイレ以外に建物自体の老朽化に伴う工事も行なっているため、約2億3,000万円の費用が発生していました。

工事開始前の見積もり段階では約3億円としていましたが、必ず行うべき整備工事やできれば実施する工事などに区分して打ち合わせを重ねて実施する内容や工事箇所を削減し、約7,000万円を削減することが出来たそうです。

この事例は、建物自体の大規模な改修と併せて浴槽などの改修を実施したケースとなっています。このため、浴室の設備や改修する箇所が限定されている場合は、この事例よりも安い金額で依頼できる可能性が高いです。

 

 

補助金を使って改修できる?

介護施設における改修工事を行う際は、工事箇所や内容などに応じて、主に以下の3つの補助金(助成金)を利用することが可能です。

  • 大規模な整備や耐震化整備を行う際の助成金
  • 多床室のプライバシー保護のための改修時に利用できる助成金
  • ユニット化改修する際に利用できる助成金

ただし、各自治体によって利用できる補助金や条件が異なるため、必ずしも全ての方が利用できるとは限りません。

そのため、事前にあなた自身が属する自治体にどのような助成金が用意されているのか確認を行うようにしてください。

ここでは、埼玉県が設けている介護施設の改修で利用できる補助金(助成金)の概要や利用条件について、解説していきます。

大規模な整備や耐震化整備を行う際の助成金

介護施設(特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護医療院など)の大規模な整備や耐震化整備を行う場合、以下の条件を満たすことで補助金を利用することが可能です。

  • 定員30人以上の対象となる介護施設の改修工事
  • 対象介護施設の新規整備に付き、同施設の広域型施設の大規模整備や耐震化が対象
  • 新規で整備する介護施設などや大規模整備・耐震化する施設の場所は、同一の敷地内や近隣に限定されていない
  • 整備主体は、同一の法人 など

上記の条件を満たすことで、埼玉県の場合、1定員あたり112万8,000円(2021年10月時点)、工事費または工事請負費の2.6%に相当する上限金額の補助金を受け取ることが可能です。

特別養護老人ホームにおける多床室のプライバシー保護のための改修時に利用できる助成金

入居者のプライバシー保護のために、多床室(2〜4人などの相部屋のこと)を改修工事する場合、助成金を受給することが可能です。

具体的には、介護施設の整備と一体的に整備される改修工事や知事が必要と認めた整備などにかかった工事費用、または工事請負費の2.6%相当額を上限とする補助金を受け取ることが出来ます。

ただし、上記の補助金は「既存の特別養護施設老人ホーム及び併設されるショートステイ用の居住」のみが対象となっているため、注意が必要です。

ユニット化改修する際に利用できる助成金

補助金の対象となる介護施設をユニット化(入居者の部屋を個室にし、個性を活かして暮らせるようにすることを目的とする介護手法の1つ)することを目的に改修工事を行う場合、以下の条件を満たすことで助成金を利用することが可能です。

  • 定員30人以上の特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護医療院など
  • 介護施設の整備と一体的に整備される改修工事(知事が必要と認めた整備も含む)

上記の条件を満たすことで、ユニット化の改修工事にかかった工事費または工事請負費の2.6%に相当する限度額の補助金を受け取ることが出来ます。

 

 

【現役建築士】からのアドバイス

近年、日本は超高齢化社会になりつつあることで、介護施設の需要がどんどん高くなっているため、介護施設の安全性や機能性をしっかりと整備しておくことが重要です。

しかし、ただ闇雲に改修工事を行えば良いと言う訳ではありません。

入居者の中には、施設内の安全性や機能性が優れていてもプライバシーが守られていないことで、精神的・心理的に負担を感じる方もいます。

このため、介護施設の改修・整備工事を検討しているのであれば、施設の安全性の向上と併せて入居希望者のニーズに合った工事を実施するようにしてください。

 

 

この記事の監修者
斉藤 正行
一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長

1978年に奈良県生駒市で生まれる。大学卒業後、コンサルティング会社に入社。その後、介護業界に転身。老人ホーム会社の取締役運営事業本部長などを経て、2013年8月に株式会社日本介護ベンチャーコンサルティンググループを設立。2018年6月に一般社団法人全国介護事業者連盟の設立に参画、2020年6月に理事長に就任。この他、介護団体・法人の要職等を兼任し、介護業界の発展に心血を注いでいる。